ロータリアンの皆様にお知らせ |
国際ロータリー第2640地区 ガバナー 前田孝道 |
「“最もよく奉仕するもの、最も多くむくわれる”というロータリーの第2モットーの使用停止をめぐって、国際ロータリーが大きく揺れました。ロータリアンにとってたいへん重要な事件ですので、当地区で、このことの事情について最も詳しい中村幸吉パストガバナーにお願いをして、事の発端から結着までをまとめて戴きました。是非、お読みください。」 |
ロータリー第2モットー「He profits most who serves best」の使用停止が撤回される ― RI理事会自らの決定を取り消す ― |
2001年規定審議会代表議員 パストガバナー 中村幸吉 | ||
1.発端 |
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ロータリー第2モットーの件で、中島治一郎パストガバナーからの書面と伝言を小島哲ガバナーエレクトか ら私が受け取りましたのは、たまたま地区情報規定クラブ委員長会議(8月11日)の席でした。それは、6月30日 から7月3日にかけて開催された国際ロータリー理事会の「決定事項の抄録」と第2680地区の田中毅パストガバ ナー(私と同期のガバナー)からのE-meilでした。その「抄録」には、RI理事会は2001年規定審議会で採択され た決議案39項目を検討の上、すべて実行に移すとあります。とりわけ、顕著な決定として三つあげております。 その一つに採決決議案「01-678」に関して、「理事会は、ロータリーの第2の公式標語“最もよく奉仕する者、最も多く報いられる”の使用を停止しました。」とあったのです。田中パストガバナーは、この理事会決定を見て、事 の重大さにいち早く気付かれ、中島パストガバナー宛のE-mailの中で、 | ||
○ | 6月理事会の報告にたいへん驚いたこと。 | |
○ | 上記の採決決議案「01-678」に関する規定審議会の議論では、性を表す言葉についての議論に終始し、モットー自身の是非に関する議論は全く無かったこと。 | |
○ | 従って、ロータリー運動の中核である職業奉仕を象徴するこのモットーを廃止することは納得がいかない。 | |
○ | 中島パストガバナーに、是非この決定を撤回するよう発言をして欲しい | |
と、訴えられたのです。 | ||
中島パストガバナーは、これは代表議員の責任において、先ず処置される(撤回させる)事が最も至当である とお考えになり、代表議員としてこの問題に対処するよう私に事の次第をお伝えになったのです。 | ||
2.RI理事会決定に対する対応 |
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実は、代表議員にはエバンストンの国際ロータリーから規定審議会で採決された決議案41件について、理事 会のとった対応(Board Action)という標題で各決議案に対する理事会決定事項を一つの表にまとめたものが 送付され、8月6日に我々はこれを入手していました。その中の最後のところに問題の採決決議案「01-678」「すべてのロータリーの標語や記述を検討し、標語や声明文から性別限定用語を削除するよう、将来の規定審議会 に提出することを考慮するように要請する件」に対する理事会の対応は「理事会は第2モットー“He profits most who serves best”の使用を停止する」とあったのです。これで我々代表議員はすべてこの通告を受けたこ とになります。 | ||
早速、私は田中パストガバナーと協議に入り、今回の規定審議会の日本35地区代表議員団の世話人の代表の 役をされていた坂巻幸次パストガバナー(第2770地区)にお願いをして、このRI理事会決定の撤回のための要 望を代表議員全員に呼びかけて戴くことにしました。そのために、田中パストガバナーが次のような3者連名(坂 巻、田中、中村)の呼びかけ文を作成されました。その要点は、 | ||
○ | RI理事会決定文書の確認 | |
○ | 採択決議案「01-678」の審議状況 (中略) |
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3.撤回署名運動の展開 |
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以上のようなやり取りがあってから、坂巻パストガバナーのほうで、上記の要望書をアレンジしたものが作 成され、結局、代表議員全員の撤回署名運動へと発展しました。以下のものがその署名運動の全文です。 | ||
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このように署名運動が展開しているうちに、この件は日本全国のパストガバナーにも声を掛け、協力を得て 実施すべきであると、世話人のほうで判断され、全パストガバナーの署名運動へと展開されていきました。 9月29日に地区諮問委員会がありましたので、その席で以上のような今回の件の経緯を説明するとともに、 代表議員としてはこのRI理事会決定が撤回されない場合は、今回の規定審議会の採決すべてを無効にするぐ らいの覚悟が必要と、皆様の協力を訴えておきました。 結局、32名の代表議員、及び234名のパストガバナー、77名のクラブ会長(第2770地区)の署名がなされ、代表 議員分は10月4日に、パストガバナー、クラブ会長の分は10月24日に世話人代表が板橋敏雄RI理事にお届けし、RI理事会に提出をお願いした、という次第です。 |
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4.結着 |
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その後、静かに事態を見守っておりましたところ、11月9日、板橋敏雄RI理事から、朗報というよりは、RI理事会決定の撤回という快報が飛び込んで参りました。それはまだRI理事会の真最中の5日目(11月7日付け)のものでした。これは、事態の重要性をしっかりと受けとめられていた板橋理事の離れ業でした。エバンストンで開催されていたRI理事会の5日目も午前11時の会議でこの件が撤回されて直ぐ作成され、我々の手許に送って戴いたようです。 この書簡には、板橋理事の深い洞察と、事の理にかなった説得の様が活き活きと記されており、私どもは深い感銘を受けております。この書簡は、すでに各クラブへそのコピーがガバナー事務所から送られていますので、是非お目とうし戴きたいと思います。ここでは、板橋理事のRI理事会でのご発言のところだけを抜粋しておきます。 |
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この発言の後、profitの解釈、Heの扱いなどの議論があって、首尾よく | ||
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と結ばれていたのです。 | ||
これは、日本のロータリー、いや世界のロータリーの歴史において特筆、銘記すべき大事件と、私は心得て おります。 ただ、私は板橋理事の労に対しては絶大の讃辞を送るものでありますが、RI理事会が今回の決定に対して民 主主義の基本理念である議論して決定するという大前提を、理事会の独断で行ってしまった事に対する謝罪 の弁がなかった事にまだこだわりを持っております。しかし、このことを追及するには日本の民主主義の成熟 度がまだまだである点を考えると、致し方ない、今後の我々が心すべき問題であるとせざるを得ないと考えて おります。 たいへん長い物になってしまいましたが、かつて無い重要なことと考え、あえて詳細に記述いたしておきま した。ご賢察下さい。 |