インド ムンバイ・ポリオワクチン一斉投与(NIDs)参加報告

地区ロータリー財団ポリオプラス委員会

2000年1月23日「国際ロータリー第2640地区(大阪南部及び和歌山)73名のメンバー」が、地区史上初めてポリオ・ワクチン一斉投与に参加した。

成川2000年度ガバナーが「実践の年」を標榜し、それに呼応した73名である。

目的地は「インド・ムンバイ」。 ほぼ全員が始めての訪問地であった。

National Immunization Daysと称され、インドの05歳の子供1億3千万人全てに、ワクチンを投与するという膨大な計画の一端に、私たちも初めて参画したものである。

インド国内では今季4回目、現在は情報の行き届きにくいスラム街が、その主たる目的地となっている。

「授与される母子」と、投与する「医師やボランテイア」、その両者の一生懸命な姿を目の当りに見、その上自らも参加出来てその感動忘れがたく、次の通りその概要を報告する。

 

1.「準備」…… インド・R.I.3140地区のご支援を得て……

 今迄もっぱら経済的支援を続けて来た2640地区にとって、実践的参加経験は国際ポリオプラス委員会委員として世界的に活動を続けている「中島パスト・ガバナー」ただ一人であった。

 このため「インド側の国際委員・国内委員・ガバナー2000・パストガバナー」等、錚々たる方々のご好意と中島PGの間で、全ての準備は進めて頂いた。

 あとで分かったことだが、インド3140地区の地区大会が1月15〜16日に開催されて居り、その合間を縫ってのご準備はさぞやご迷惑をおかけしたことと、頭の下がることばかりである。

 勿論2640地区ポリオ・プラス委員会としても、実践時の注意事項や参考事項を出来るだけ集約できればと、この種活動で長く優れた実績をもつ2650地区(京都・奈良・福井)のご好意により、二度にわたってレクチャーを頂戴した。

 中島DPGから参加者全員「オリエンテーション」を受け、木下委員長の投与方法の実演を見学し、ポリオの知識は「パンフレット」で勉強し、「結団式」を開いて最早後には引けぬとなった頃には、やっと体系的に把握できたという感じはもてた。

 しかし実体験を中島DPG以外誰も持たないという不安は、率直なところ最後の最後まで払拭し切れなかったのが本音である。

 

2.投与の「前夜」…… Friendship Nightで盛り上がる……

 一斉投与の前夜、ご計画頂いたインド3140地区と日本2640地区の交歓会が、開催された。 中島PDGの流暢な英語司会の中、RAJKUMAR BAGADIAガバナー・成川ガバナーと、友情溢れる交歓の言葉が続き、市当局のDr. ALKA S. KARANDE女史もわざわざご来場され、スピーチを頂戴した。

 その上、宴の終わり近く、3140地区から投与に備えて準備された「帽子とエプロン」更に2000年を記念した「ネクタイ」を拝領した。

その行き届いたご配慮には心底感服するとともに、インド・ロータリアンの皆様の暖かい心根が、我々全員の胸に深く刻み込まれたひとときであった。

 

3.一斉投与……もう二度と発症させないという思いに駆られて…

     団員73名は、24〜25名の3班編成で3台のバスに分かれ、各々異なった方面でロータリアンの皆様が各々8台の自家用車で待ち受けて下さる拠点に、ご案内頂いた。

ここで三人ずつに分かれて自家用車に乗せて頂き、各々がさらに異なったワクチン投与場所(ブース)に向かう。

     亀岡リーダー班のひとつのグループ例を挙げてみよう。

まずCHANDIVALIJOGESHWARI ink RoadBUDDHA agarという三箇所のブースに案内頂いた。雨露をしのぐだけの傾いた家が連綿と続き、目的がなければ立ち入るのに二の足を踏んだかもしれない場所にブースがしつらえてある。

しかし到着してまず驚いたのは、幼子を抱き或いは手を引いて立ち並ぶ母親の真剣な表情であった。子を思う親の心は万国共通である。

加えて、幼子のつぶらな瞳で、少し不安げに、一生懸命口をあける姿を見て、この子にポリオになられてなるものかという思いが、心から湧き上がった。

ボランテイアの医師や若者の落ち着いた、慣れたしぐさも、また頼もしい。

これに真似事とはいえ、参画できているという思いは、今までになく有意義に感じられた。

     この後さらにDOSHI Nursing Homeで先生のご説明を拝聴し、併せて手術後療養中の頑是無い少女を訪問した。別れ際手を振ると、振りかえしてくれた動作が目に焼き付いて離れない。

現場実践の必要性を痛感した一時である。 

     投与を終えて三つの集結点に戻ると、会長・パストガバナー・会員・ローターアクト等総出でお迎え頂き、冷たいコーラーとサンドイッチ迄頂戴した。

担当いただいたクラブによって方法はことなったが、この後時間ぎりぎり迄種々の交歓が行われ、充実した時間を過ごすことが出来た。

特にポリオ手術後、積極的に試験や仕事にチャレンジ中の青年男女を紹介され、その前向きのスタンスに感銘を受けるとともに、それをサポートしているロータリークラブの奥深い活動にも感服させられた。