〜 第一部 〜
IM6組ガバナー公式訪問
合同例会 ・テーマ「多くの友達をつくろう」



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 ところが、ラタクルさんの方は、「私はそうはしたくない。トップダウンではなくて、ボトムアップでやりたい。しかも、トップとかボトムとか言うには、やはり上下の差をつけているような気がするので、なるべくそういう言葉は使いたくない。グラスルーツ(草の根)という言葉を使いたい。だから、各クラブに対してRI会長もしくはRI理事会がこういうことをしなさいよということは一切申し上げません。クラブの皆さんがどうすれば自分のクラブがよくなるか、いいクラブになるかということを考えて、それぞれに計画をお立てください。」こういうことを何度もおっしゃっておりました。「ですから、あるクラブでは、増強ということをほって、もう増強しない、現状維持でいく、今の会員数をきちっと保持するんだというクラブがあったら、それはそれで結構です。やっぱり1人は増強せないかんでというクラブがあって、1人増強するという計画を立てられるんでしたら、それでも結構です。いや、それよりも親睦重視で、家族会とか地区大会とか世界大会にみんなで連れもって行って親睦を深めるんだというクラブも、それで結構です。おやりください。また、国際奉仕に力を入れようというクラブがあれば、それも結構です。どうぞ。」こういうスタイルでございまして、こういうことをやったらどうだということは何らおっしゃっていないわけであります。
 私は、ラタクルさんのその方針には100%賛成でございますので、私の方からガバナーとして皆さんのクラブへ「こういうことをやってほしい。」ということは、一切申し上げないことにいたしました。それに応ずるために、地区委員会の組織の方もかなり大幅に変えまして、地区委員会でいろんな計画をして、「こういうことをやるから、皆さんクラブで協力してください。」ということは一切言わないようにしよう。クラブがいろいろな奉仕活動をされる、そういう奉仕活動がスムーズにうまく運ぶように何とか地区委員会はサイドから応援して差し上げよう、そのように思いまして、かなり地区委員会の組織、それから人数等も変更いたしました。
 どうぞ皆さん、方針としては今のとおりです。私はラタクルさんのその案には全く同感でございますので、ひとつクラブの方で「わしらはどうやったらいいんだろう。」と、先ほど岸和田の会長のお話にもありました。会員の皆さんがどうすればロータリーへ入ってよかったなと思っていただけるか、そういうクラブにするためには何をすればいいのかということをお考えの上、皆さんで活動計画を立てていただきたいなと思います。
 ラタクルさんはそのようにおっしゃるものの、やはり4つほど、これはやはり大事だとおっしゃることがあるんです。その4つは何かといいますと、1つは、トップに出てくるのはやはり会員増強です。世界的に見ますと会員減少は底を打ちまして、昨年、一昨年あたりからちょっと上向いていますが、これは主に東南アジアの方の増強が多くて、アメリカ、日本は減っております。こういう意味から、「数は力なり」というのは嫌な言葉ですが、同じ志を抱いた友達を増やそうじゃないかというのは大事なことだと思いますし、1年たちますとクラブの平均年齢が1つ上がりますので、若い人を入れて多少若返りを図っておかないと、今にロータリークラブは全部おじいさん、おばあさんのクラブになるよという意味合いがございます。
 2つ目は、ポリオの撲滅でございます。お金を集め出してからもう17年ほどになります。発生件数は、当初は発生を検査する機構もうまくできておりませんでしたので、単純に今の数字と比べるわけにいかないのですが、スタートのときは約50万人と言われておりました。今の調子で検査するとこの10倍という数を聞いております。現在は、ちょっと数が増えて、私もがっかりしているんですが、9月20日現在で540万人ぐらいだったと思います。インドが8割近く発病者を出しております。その次はナイジェリア、それからパキスタン、この辺が多うございます。月信の4号から、今年になりましてから発病者数を出しておりますので、どうぞご覧になってくださればいいですが、この発病者を来年の9月までにゼロにしよう。そして来年の9月から1年半ほど見て、もう発病がないなとなりましたら、2005年のシカゴ世界大会でポリオは終結したという宣言をして皆で喜ぼうではないかという予定でございます。「撲滅」という言葉を使いたいんですが、撲滅というからには、発病ゼロが3年続かないとだめらしゅうございます。これはWHOの規格らしゅうございます。残念ながらシカゴの世界大会で「撲滅」とは宣言できないのであります。「終結」ぐらいだったらよかろうというお墨付きをいただいているようでございます。そういうことで、今年の皆さん方からの財団への寄付に対しましては、いろいろお願いをしておりますが、もう最後ちょっとというところなので、皆さんのご協力を重ねてお願いしたいと思います。
 それから、ラタクルさんのおっしゃる大事な点の3つ目は、職業奉仕であります。この点に関しましては、私の思っていることとちょっとニュアンスが違うんですが、ラタクルさんは、「各クラブの職業分類表を見直してほしい。最近は事務所を構えずに、一般家庭で1人、2人でやっておられる仕事が随分あるはずだ。そういう人の持っておられる職業倫理の観念は大会社の観念と違うかもしれない。したがって、そういう人をなるべくクラブへ入れ込んで、一般的な職業倫理の高揚ということを図ってほしい。」とおっしゃっておられます。
 先ほどの話にもありましたように、例えば牛乳とかハムとか電気とか、外務省も警察もそうなんですが、やったらいかんとわかっていることを平気でやって、そのあげく、会社が傾いてしまうとか、社長が首を切られるとか、そういうスタイルになるわけです。私は、あの中にも何人かのロータリアンがおられたんじゃないかなと思うわけです。いざお尻に火がつくといいますか、追い詰められますと、ああいうスタイルになるのかなと思って私は自問自答しているわけですが、いわゆる職業倫理の感覚がちょっと麻痺しているといいますか、変な方へ動いているような気がしてなりません。この辺はやはりロータリーの方でもう一遍考え直そうということでやっていただかないとしようがないことだなと思います。非常に難しい話であります。
 例えば警察官になるためには、警察学校へ行きます。警察学校で「人の物を盗ったらいけませんよ。人を殺したらいけませんよ。」というようなことは教えないのであります。大阪の場合は、消防署の署員になろうと思いますと消防学校へ通いますが、その消防学校で「放火はしたらいかんよ。」ということは教えないのであります。現実、そういうことを教えない、当たり前のことをやらないというのが現在の世相であります。大きな問題を含んでいるのではないかなと思います。



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