ガバナーメッセージ
 
職業奉仕月間に寄せて
 
国際ロータリー第2640地区
 
ガバナー 前田孝道 
ガバナー 前田孝道
 今月は「職業奉仕月間」です。職業奉仕について考えてみましょう。現代を生き抜く殆どすべての人は、なんらかの職業に従事する職業人です。また今はリタイアしていてもかつては職業人であった人々です。この世の中は多くの人達の持ちつもたれつの関係によって成り立っています。
 私は小学校を卒業すると、観音様の信者であった母の勧めもあって、生涯を僧侶として生きてゆく道を選び、観音様の寺に小僧として入寺して、修行する事になりました。師僧は大勢の弟子たちを育てられた名僧で、私は良き師の薫陶を受けることができた事を今も感謝しています。私が十七、八才の頃、ある時、師僧に呼ばれ、何事かと師僧の部屋を訪ねると、師僧は机の上に様々な書類や写真を並べて次のように申されました。「私は今、年老いて檀信徒のお布施でただただ日々を過ごしているが、坊さんの生活とはこんなものかと思うてはならぬ。私も若い時は社会奉仕活動に、布教伝道に、宗団活動に励んだものである。これらの書類はその頃のものだ。人は生れて以来、衣・食・住の万般に渡って、世の多くの人達の恩恵によって生かされている。故に人はただ自分だけ面白おかしく生きてゆければそれで良いというものではない。人間にはそれぞれ与えられた使命と言うものがある、人によって能力に差があるのでいちがいにどうせよとは言えないが、自分は社会のために何ができるかを自らに問い、使命感をもって社会から受けた恩恵の万分の一でもお返しするつもりで報恩の日々を生きねばならぬ。」と申されました。力不足でなかなか師僧の言葉通りには参りませんが、この時の師僧の言葉は、その後の私の生きる指針になりました。
 1910年に、全米ロータリークラブ連合会を結成するために第1回の大会が、シカゴで開催された時、大会委員長は「19世紀の商業主義の著しい特色は競争…他人を出し抜くことでした。20世紀になって人類はもっと賢くなっています。(略)他人に正しい行為をする事が経済的にも引き合うものだと言う事が、理解できるようになりました。」と。
 その翌年1911年「超我の奉仕」と「最もよく奉仕するもの、最も多く報いられる」の二つのスローガンがロータリーで用いられるようになり、1950年ミシガン州デトロイト大会以来公的なロータリーの標語と定められたのでした。本年の規定審議会で第2の標語「最もよく奉仕するもの…」がなぜか使用停止になってしまいました。はなはだ残念な事です。尤も私たちは「多く報いられる」ことを期待して奉仕するわけではありませんので、本当は何等痛痒を感じません。本来の奉仕の心は「超我の奉仕」にあると思っています。しかし、長年使用されてきた重いロータリーの標語が、これという確たる理由のないままに停止されるということは、うなづけないのです。ロータリーではこの規定審議会を限りに男女の性に関する言葉を停止する事となり、この標語の「He」という男性名詞に始まる言葉ゆえ停止される事となったと伺います。日本語の「最もよく奉仕するもの、最も多く報いられる」の標語には男女の性に関する語はどこにも見当たりません。私たちはこれからも品位ある職業奉仕活動を展開して参りましょう。(No.4―2001.10.10―)
 
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水田博史直前ガバナーへの感謝の言葉
 
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